石本酒造は1907年(明治40年)創業。太平洋戦争前後の国策で醸造用の糖類・アルコールを添加したいわゆる「三倍醸造」の日本酒が幅を利かせた中でも、決して儲けに走ることなく本来の酒造りを貫き、「淡麗辛口」のすっきりとした味わいの酒を造り続けました。
しかし「濃厚甘口」が主流であった当時の消費者の価値観にはなかなか受け入れられず、売上げが低迷した時期も経験していたそうです。だが1960年代に入り、次第に消費者の価値観が多様化していく中、所謂「本物商品」である寒梅が口コミ、媒体を通して広く伝わることになりました。これを機に越乃寒梅の人気は大いに高まり、現在に至るまで高い評価を得続けております。
蔵元は品質向上を最優先し、安易に大量生産に走ることなく生産量を限定して醸造を続けているが、その一方で近年人気が高まり、需要と供給のバランスが取れなくなったことから、このようにプレミアが付加されて販売されるケースが増えつつあります。その一方で蔵元の関係者は、近年越乃寒梅が“幻の酒”と崇められることについて「本来であれば、越乃寒梅はお客様に“気軽に飲んで頂ける酒”でありたいのですが・・・」と、人気の過熱ぶりに当惑しているという。『極めるということ。頑なであるということ。「越乃寒梅」であるということ』、越乃寒梅醸造元、石本酒造はこの言葉を念頭に置きながら日々旨酒造りに全力を注ぎます。
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